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電通新人過労死認定に思う事
24歳東大卒女性社員が過労死 電通勤務「1日2時間しか寝れない」 クリスマスに投身自殺 労基署が認定
ここ数日、ネット上でこのニュースを数多く目の当たりにします。
最愛のご息女をこのような形で失われた御両親の無念はいかばかりか、その堪え難い心痛は察するに余りあります。衷心より御冥福をお祈りするとともに、二度とこのような不幸な出来事が起きない事を願います。
わたくし自身、テレビ局の出身ですので、労働環境は似たようなものでした。テレビ局の営業マンとして、それこそ電通を始めとする多くの代理店の方々とお仕事をさせていただきましたが、連日に渡る深夜残業は当たり前、終電で帰れたら神に感謝をしたものです。
マスコミ業界は基本ハードワーク
夜中の1時2時に代理店に電話を掛けても当たり前のように相手は電話に出るし、向こうも当たり前のように掛けてくる、という環境でした。もちろん営業ですから、デスクワークの他に宴会・接待もあります。宴会を盛り上げるべく、残業時間中に宴会の仕込み(紙芝居・漫才・VTR編集など。これも立派な仕事です)をやっていました。土日出勤も当たり前でしたから、それらを含めると、ひどいときは毎月の残業はほぼコンスタントに100時間を超えていました。
いま思うと異常な労働環境だったと思います。よく言われますが、マスコミ業界は労働時間という点では、外食業界も真っ青のブラッキー業界です。少なくともぼくが辞めた6年前までは。
日本の様々な組織を覆う「空気」なるもの
マスコミ業界にかぎらず、日本の企業にはこういう異常なまでの過剰労働が依然として蔓延しています。なんでそんな異常な事になるかというと、それはつまるところ「空気」に依るところだと、ぼくは思います。
たとえば
仮にも真剣に仕事をしていたら、定時に帰るなど普通はできないはずだという「空気」
先輩より早く帰る社員は、仕事に対して真面目ではないという「空気」
若手はハードワークが当たり前だという「空気」
恐ろしい事に、入社したての頃には「マジかよありえなくね!?」と感じた一見非常識な事も、その「空気」を半年も吸っていると、すっかりそれに染まってしまいます。特に新卒で入った会社ならなおさらです。
日本にはこのような「空気」と言う、極めてファジーでありながら実際のところ何人(なんぴと)も抗えぬ、実に不可解なるものが、あらゆる組織を隠然と支配し、時にそれが大きな災禍を導きます。
例えば
三菱自動車の「燃費試験データの不正は昔からあった事だし、いまそれを指摘すべきでない」という空気、
東芝の「歴代社長の関わった不適切な会計処理を、今更蒸し返すのは得策でない」という空気、
さらに歴史を遡れば旧日本陸海軍の「既に多大なる犠牲を払った以上、今更降伏など言えるはずがない」という空気、です。
「空気」をぶっ壊すのは指揮官の仕事
このわけの分からぬ「空気」なるものが組織を支配すればするほど、組織は沈黙して均一化し、同時に内向きな一体感による心地よさを醸成します。
この空気なるものの打破は、現場(若手)からのボトムアップを待っていてはなかなか成し得ません。
リーダー、指揮官たるものが率先して取り組み、上意下達で「総員、ムダ残業禁止や!」と徹底しなければ解決しない課題です。だからぼくはみんなに口を酸っぱくして「残業するな!」と言い続けます。
若者・よそ者・ばか者が組織を救う
「若者・よそ者・ばか者」という言葉があります。組織にとって異端視もしくは軽視されがちな人たちを一括りに形容した言葉と言えます。これと逆の「ベテランの人、中の人、小賢しい人」の言葉ほど、なんとなく説得力があり、なおかつ耳障りの良いものです。しかしながらリーダーに求められるのは、これら「若者・よそ者・ばか者」により大きな声で発言させ、自由闊達な議論を促す事です。
仕事=人生のすべて、ではない!
「若いうちはがむしゃらに働くべきだ。それがのちに大きな糧になる」
という考え。
ぼくは個人的にこういう考えが大嫌いです。
こんなのは管理職や経営者にとって都合の良い詭弁でしかありません。
若いうちにこそ、友達や同期と遊びに行ったり、恋人とご飯に行ったり、仕事以外の今しか出来ない事をやるべきです。歳を取って後悔しても、若かりし日々は取り返せません。
若ければこそ映画を見ても小説を読んでも感動するし、語学や会計といったスキルの吸収も早いというものです。そうしてビジネスパーソンとしての「幅」を養うべきです。
仕事しかしてこなかった人は話をしていても面白くありませんし、そういう人は決められた範囲の仕事しか出来ません。仕事以外の時間には、むしろ「仕事では絶対やらない事」を全力でやるべきです。
また、親孝行ができるのも、親が元気なうちだけです。若手だろうが何だろうが堂々と有給休暇を取って、両親を旅行にでも連れてってあげるべきです。
「若いウチは仕事に全てを捧げる」なんて、ナンセンスです。前途ある若者が、労働環境を改善しない無能な経営者や、スポーツ新聞ばっかり読んでいるバカ中間管理職の犠牲になる必要はありません。
徹底的な効率化で、残業は必ず減らせる
遅くまで家に帰らず、ゴリゴリ仕事を頑張っている風な先輩社員に限って、実は昼間雑談が多かったり、だらだらタバコを吸いに行ってたり、仕事の効率が悪かったりします。そういう先輩社員は遅くまで仕事をし、頑張った自分に満足してるわけですが、遅くまで仕事をしているのは「勤勉」の証明ではなく、ただ効率が悪いだけの「無能」の証明だと言えます。
残業=頑張っている のではなく 仕事が遅いだけの無能
定時帰宅=さぼっている のではなく 時間内に仕事を終えられる有能
という「空気」を、会社全体で作っていくべきです。
ぼくはよく社員に「延々とモグラ叩きをやって『やった感』に浸るより、どうやったらモグラが出なくなるか考えてください」と言います。また「手で穴を掘るより、周りにスコップやドリルが無いか常に考えてください」とも言います。
経営者自ら率先してより効率の良い働き方を模索し、もし従来の慣れ親しんだやり方に非効率を感じるなら、躊躇なくそれをぶっ壊すべきです。
外国人・女性が働きやすい職場を作るために
ウチは女性率90%、外国人率70%の会社です。日本のオールドスタイルを押し付けても絶対にマッチしません。外国人には日本のような「就社」の概念はありませんから。
逆に人口減少とともに国内市場が縮小していく中、「男だけ・日本人だけ」の職場で長時間労働を善とする企業に、将来があるとも思えません。そんな会社にはとっとと見切りをつける事をお勧めします。
日中バリバリ働いて、定時にスパッと終わり、夜は19時からバリバリに遊ぶ、或いは新たな刺激に触れる、家族とゆっくり過ごす。そして翌朝出社するときには100%フル充電できていて、始業時間から闘志全開のファイティングポーズが取れる、これが理想だと思っています。
そうやって社員各人が生き生きと活躍し、たまにだり半で宴会が出来たら、最高やないですか。