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うなぎ屋というのは、客の注文を受けて焼き始めるから、待つのは覚悟をしなければならない。店によっては1時間近く待たなければならないから、間違っても急いでいる時には行ってはいけない。

 

待つ間、うざくやうまきをつまみながら、お酒をちびちびと呑む。この瞬間が酒飲みには最高に贅沢でたまらない。待たされる以上、ゆっくり飲む大義があるのであって、店の前にどれだけ客が並んでいようが泰然自若、堂々と酒を呑んでいられる。ちなみに江戸時代には、うなぎ屋は江戸っ子たちの格好のデートの場所だったらしい。うなぎが焼きあがるまで待たされるので、長い時間会話が出来るというわけだ。

 

うなぎ屋に限らず、何でも待つうちが一番楽しい。

 

子供の頃、遠足が楽しみでたまらず、前の晩なかなか寝られなかったという経験は、誰にでもあるだろう。しかしいざ翌日遠足に行ってみると、そんなに腹を抱えて笑ったり、狂喜するほど楽しかったりという事もなく、意外とあっという間に終わってしまうものである。

 

 

クリスマスも同様で、年末の都会の慌ただしくもきらびやかな雰囲気は、本当に何度経験しても心躍るものである。街中イルミネーションがともり、クリスマスソングが流れ、クリスマスイブの最高潮に向けて、心なしか自分のテンションもどんどん上がっていく。しかしいざイブの夜を迎えてみると、結局いつものメンツでいつもの場所で呑んでいたりする。そして26日になれば街中のツリーもあっけなく撤去され、あっという間に正月の門松にすり替わっているのだから、「あのウキウキ感は幻だったのか」と毎年思ってしまう。

 

であるから、何事も待つうちが最も良いのである。

 

今日も、待ちに待ったうなぎがついに運ばれてきたが、ひと口ふた口と「美味い!」と唸ったあとはもう、食欲に任せてむさぼるのみで、後に残ったのは食べ過ぎた腹の苦しみと、また運動して節制せねばという罪悪感だった。

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プロフィール

代表取締役
吉田皓一
奈良県出身。防衛大学校を経て慶應義塾大学経済学部卒業後、朝日放送入社。総合ビジネス局にてテレビ CM の企画・セールスを担当したのち退職。
2012 年㈱ジーリーメディアグループ創業。台湾人香港人に特化した日本観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を運営する。HSK漢語水平考試6級(最高級)及び中国語検定準1級所持。台湾にてテレビ番組やCM出演、雑誌コラムの執筆、台湾でチャンネル登録18万人のYouTube「吉田社長JapanTV」運営なども行う。日本酒輸出、台灣交通部(国交省)Taiwan Pass Project顧問。
2018年より北海道FM northwave「メイリー!台湾」メインパーソナリティとして台湾の魅力を発信中。